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2022.07.19 Tue
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SCHIETTO

Category  Work

札幌市内中心部のセレクトショップの店内に、約5坪の眼鏡店を設計するプロジェクト。
長年眼鏡業界の第一線で活躍されてきた店主が今回新たに立ち上げたのは、北海道内にこれまでなかった、マニアックな品揃えの眼鏡店だ。

 

眼鏡と建築に共通する、フレーム(=骨格 / 構造 / 枠)というキーワードから考えた。

眼鏡は、フレーム(枠)の形状が「眼鏡」そのものを表していると言える。一方、建築のフレーム(構造)は、その上から仕上げが施され内側に隠れている状態が一般的であるが、工事途中の構造現しの状態は、軽快で美しい。眼鏡と建築、それぞれにおけるフレームの在り方から着想し、日頃から興味があった工事途中のような空間を作りたいと考えた。木造建築に用いられる柱材で空間を構成した。壁面と什器にはMDFを採用し、仕上がっているような未完成のような、曖昧な状態とした。商品陳列棚の受け金物は、クロメートメッキの特注品である。このような仕上げを選定した理由は、モノトーンで構成されたセレクトショップとの境界を明確にし、独立した店舗であることを示す意図もある。

 

ワンアイテムに特化した専門店では、商品を整然と陳列することで、空間に秩序をもたせることができるが、インテリアの構造やマテリアルを限定することで、それをさらに強調することができたのではないだろうか。

 

店名であり社名でもある「SCHIETTO」には、純粋な/ありのままの/素朴な、という意味がある。店主が大切に掲げる言葉に寄り添わせてもらい、純粋に作ってみたいと考えていた素の状態の空間を素直に目指してデザインできたと思う。

 

Worksのページに竣工写真をアップしました。ぜひご覧ください。

2022.06.29 Wed
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19770629

Category  Blog

6月29日は桑原崇の誕生日。

 

最近では、桑原さんのことを全く知らない人に出会うことも多くなった。今年の春から入社したスタッフもその1人だ。さびしいことではあるけれど、月日が流れていく中でそれは自然なことなのだろう。

 

mangekyoは桑原さんが作った設計事務所だ。彼は5年前、40歳と1ヶ月ほどでこの世を去った。生きていれば今日45歳を迎えたはずだった。いつも私のずっと先を行き、後ろ姿と横顔ばかり覚えている。私は今年、ついに彼が亡くなった時の年齢に追いついてしまった。どんな時でも頼りになった桑原さんより私の方が年上になっていくなんて、少し心細いような不思議な感覚だ。

 

通夜の夜、葬儀場の駐車場のはじっこで1人、私がmangekyoを継続していくことを決めた。mangekyoを、過去の設計事務所にしたくなかったからだ。まずは5年やってみよう。それでだめならその時また考えようと思った。

 

あれからもうすぐ5年。桑原さんの誕生日である今日、札幌市内のプロジェクトが着工した。勝手だけど、「これからもがんばれよ」と言ってくれているのだと、都合よく前向きに受け取っている。(本人は絶対そんな感じでは言わない)

 

ひさしぶりに喋りたいなー。最近考えていることとか、おもしろかったこととか、傷ついたこととか、いろいろ。
でもそれよりなにより、今日勃発した仕事のトラブルをどうしたらよいかまずは相談したい。めちゃくちゃ怒られそう。

 

Happy Birthday.

2021.06.07 Mon
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炉端 酒 勿ノ論

Category  Work

インテリアデザインを担当した「炉端 酒 勿ノ論」。

 

既存の炉端焼き店によく見受けられる要素を寄せ集めた店になることは避けたかった。リサーチのために訪れた釧路や札幌の炉端焼きの名店での自分自身の体験を咀嚼し、アップデートしたいと考えた。チープではない気安さや、心が静かに落ち着いていくあの感覚はどこから来るのか。その答えは、「姿勢」と「仄暗さ」にあると思った。

 

炭焼き台を囲むコの字カウンターとテーブル席のベンチは、座面を低く、奥行きは浅くした。背もたれがないので、座ると自ずと天板に肘をつく姿勢をとることになる。体を少しだけ縮めるこの姿勢は、物理的にも精神的にも人との距離が近づく。(この考えは、2019年に発表したスツール「form」に通じている。)座面はい草ロープを巻いて仕上げた。これは釧路の名店の座面が畳だったことから着想したもので、寸法も参考にしている。

 

天井の基礎照明を極力減らし、頭上から落ちる光を最小限にした。手吹きガラスの特注スタンドライトによってほんのり照らし出される手元周辺に意識が向かうことで、間仕切りのない親密な空間が生まれた。

 

カウンターとテーブルの天板は、製材の際に生じるノコ目を残した状態を仕上げとした。仄暗い空間の僅かな光を受けて浮かび上がる表情と、視覚からの情報が制限された中だからこそ感じ取ることができる繊細な手触りを表現した。

 

カウンターとテーブル、い草のベンチは621によるデザイン・製作。
炉端リサーチのため、真冬の釧路まで同行してくれた。いつもありがたいです。

 

特注スタンドライトは、今回久しぶりにご一緒することが出来てうれしい、イリスによる制作。
ギリギリまで根気よく細部を詰めてくださいました。

 

グラフィックデザインはCOMMUNEです。

 

竣工写真に記録することができなかった、紺屋 纏祝堂による藍染の暖簾や座布団は、改めて撮影したいと思う。

 

WORKSのページに写真をアップしましたので、ぜひご覧ください。

2021.05.04 Tue
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mangekyo manual

Category  Blog

先代の社長(当時30歳)が作成した会社のマニュアルをドロップボックス深層から発掘した。

私がmangekyoに参加する際に作られたもので、会社の目標や仕事の進め方、日々の心構えなどが記されている。

 

「各スタッフが最良だと思う方法で、進め方は自由。」

「会社内で賄えないもの又は良いものが作れない場合は、積極的に外部に委託する。」

「自分がやりたい仕事を採るために会社営業費を使う。プロジェクトの一つと見なす。」

「自分がやらなくても良い仕事を断る勇気を持つ。」

「生き方がデザインに出る為、面白く生きる。」

「仕事はきちんとやるが、頑張らない。」

「仕事がつまらないと感じたら、相談する。」

などなど。この他にも、かなり強気な項目が並んでいる。

無意識のうちに根付いて、私の考え方や重要な物事を決断する時の基礎となっているものもあるし、

おい もっとしっかりしろよ と言われているような気がしてビクッとするものもある。

 

ファイルの枠外に、

「デザインとは、」

からはじまる一文が残されていた。これは私の中に留めておくことにする。

 

2021.03.17 Wed
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METROCS Sapporo

Category  Work

インテリアデザインを担当した「METROCS Sapporo」。

 

札幌円山で25年もの長い間営業されてきた、ハーマンミラーやヴィトラなどをはじめとする国内外のデザインプロダクトを扱う説明不要の名店です。学生の頃から憧れ続けた名作家具たちが、mangekyo事務所の隣にお引越ししてきました。

 

mangekyo事務所同様、天井高4870のシンプルな倉庫物件ですが、長年に渡り様々な用途で使われてきたこちらの空間は、鉄骨ロフトと天井裏スペースを作って増床されており、本来持っているはずの抜け感をほとんど感じることが出来ませんでした。

不要な箇所を解体するだけでこの空間が長年隠し持ってきた魅力を掘り起こすことが出来たので、必要最低限の造作工事+塗装のなるべく少ない手数で仕上げました。デザイナーズ家具が映える気持ちの良い空間になったと思います。

 

METROCSさんがインスタグラムに移転のお知らせとして投稿された一文、

“(25年お世話になりました円山店は)とても好きな空間で個人的にも離れがたい気持ちはありましたが次に見つけた新天地はその感情を超えるものがあり決断致しました。”

この言葉を受け、背筋が伸びる思いでした。移転オープンでも新規オープンでも、インテリアデザインは、店主の大きなご決断があってご依頼いただける仕事なのだと改めて感じました。これからも丁寧に向き合っていきたいです。

 

桑園に引っ越してきて早6年。特別なんの印象もないエリア(愛を持って)で新しく何かを始めることこそがクリエイティブに違いないと信じてきました。拓殖ビル、どんどんおもしろくなってきましたよね。

 

WORKSのページに写真をアップしましたので、ぜひご覧ください。